2017.11.14 ISBER準拠の検体保管表示について(血清検体に関して)

バイオテクオロジー分野に求められる国際規格

 次世代シーケンサーやマイクロアレイなどの解析技術は、医薬品の開発だけでなく、食品の開発や工場の検査など幅広い分野へ応用されつつあります。バイオ技術を産業化するためには、基礎研究の段階で信頼性の高いデータを蓄積することが必要です。臨床検査室にISO15189の国際規格があるように、バイオテクノロジー分野にも一定の基準を設け、信頼性の高い研究開発が行えるような環境を整備することが求められています。もちろん、研究者へ試料提供を行っているバイオバンクでも、保管環境や試料自体の品質を保証できる基準をクリアしていることが大切です。

ISO/TC276について

 このような流れをうけ、バイオテクノロジー分野の国際規格として2013年2月にISO/TC276が設立されました。現在30カ国の積極参加メンバー(P-メンバー)と13カ国のオブザーバー(O-メンバー)が参加し、5つのワーキンググループ(WG,作業部会)に分類されています。バイオバンクがあるWG2では中国とドイツが幹事国となり、保管環境や検体処理方法の基準設置に関するミーティングが行われています。

参加国

P-メンバー
(Participating Members)
Brazil, France, United States, Austria,United Kingdom, Germany, Denmark, Egypt, Colombia, Luxembourg, Portugal, Argentina, Iran, Japan, Korea, Belgium, Ireland, Australia, China, Canada, Finland, Israel, Sweden, Sri Lanka, Switzerland, Nigeria, Singapore, Tanzania, Thailand, Italy
O-メンバー
(Observing Menbers)
India, Mexico, Ukraine, Estonia, Ecuador, Lithuania, Mongolia, Hungary, Netherlands, Poland, Norway, Spain, Czech Republic

 

ワーキンググループ

ワーキンググループ(WG) 名称
ISO/TC276/WG1 Terminology
ISO/TC276/WG2 Biobanks and bioresources
ISO/TC276/WG3 Analytical methods
ISO/TC276/WG4 Bioprocessing
ISO/TC276/WG5 Data processing and integration


ISBERについて

 ISBER(International Society for Biological and Environmental Repositories)は、1999年に設立された、生体試料を環境試料の保管に関する国際的調和をめざすための国際団体です。ISBERでは、最も解析に影響をおよぼす生体試料の採取から保管にいたる過程をコード化したSPREC(Standard Pre-analytical Code)を開発し、いわゆる「タイムスタンプ」として用いることを推奨しています。バイオバンク室では、これからISBERに従って試料の保管状況を表示することとなりました。

試料の保管方法

 以下の図のように、サンプルの種類や保存容器の種類に加え、採取から長期保存にいたるまでの過程を7段階に分類しています。どのような処理環境を経て保管されたサンプルなのかがあらかじめ分かれば、サンプル利用者が事前に処理条件を把握でき、要望にマッチしたサンプルをご提供できるようになります。
 表記方法は下の図をご覧ください。なお、当バイオバンクの血清はすべて以下の方法で採取保管されています。ご利用の際に参考にしていただけますよう、よろしくお願いします。

保管試料の表記方法

 

 

▶  記事一覧を見る